24.桁違い

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 口付けが(ほど)かれる頃には私、自力で立っていられなくて宗親(むねちか)さんの腕に支えられてやっと立っている感じで。 「宗親(むねちか)さ……」  熱に浮かされたように宗親(むねちか)さんの名前を吐息に乗せてつぶやいたら、宗親(むねちか)さんがチュッと音を立てて私の耳を吸い上げてから、「続きは夜にじっくりと……」ってささやいていらした。  私は熱を浮かされたこの身体を、今日一日持て余さないといけないのだと絶望的な気持ちになる。  マテ、が呪いのように身体を(むしば)んでいたのは、私自身の方だったのかもしれない。 「今夜はふたり、定時には上がりましょうね。残業は禁止です」  宗親(むねちか)さんがこの話を切り出したのが、土曜がお休みの週の金曜日の朝だというのも、何だか仕組まれていたような気がしてしまう。 「今、夜……」  宗親(むねちか)さんの言葉を(かすみ)が掛かったような頭で復唱して、私は熱を流したいみたいに小さく吐息を落とした。
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