24.桁違い

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「あ、足利(あしかが)くんっ」  今度はちゃんと名前が言えてホッとする。(こ、声はちょっと裏返っちゃったけど) 「ひょっとして驚かしちゃった?」  聞かれて照れ隠し、慌てて首を横に振ったら、クハッと笑われてしまう。 (ちょっ、待って? もしかしてお見通し?)  などとテンパる私をよそに。 「――ところで珍しいね。今日は定時なんだ?」  話を切り替えるようにそう聞かれたけれど、すぐには気持ちがリセット出来ない私は、声を出せないままにコクコクとうなずいた。  足利くん、他の若い男性たちより比較的話しやすいと思ってはいても、やっぱり人並みに会話が弾むようになるには、もう少し言葉の助走(やりとり)が要るみたい。 (ましてや、の今は特にっ)
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