25.初めての*

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「……宗親(むねちか)さん、そんなに私と、早くその……になりたかった、の、かな?……なんて自惚(うぬぼ)れてしまいそうです、よ?」  叱られてしまうのを覚悟でしどろもどろにそう言ったと同時、「ずっとそう申し上げているつもりなんですけどね?」という宗親(むねちか)さんの吐息まじりの声音とともに、私の身体はふかふかのベッドの上に降ろされた。 (ひょっとして、寝室の扉、開け放たれたままだった?)  宗親(むねちか)さんは私を両腕で抱え上げていらしたはず。  足で扉を開ける素振りも、私を抱いたままぎこちなく扉を開けた雰囲気もなかった!  まるで最初から、私を抱き上げて両手が塞がった状態でここへ来ることが想定されていたみたいだよ?と気が付いて、私はにわかに恥ずかしくなる。  もしその推理が正しければ、いまこの部屋の明かりが恥ずかしいくらいに何もかも見通せるぐらいの明度で煌々(こうこう)と付けられているのも、宗親(むねちか)さんの計算のうちな気がしてしまう。
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