25.初めての*

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 言うと同時に宗親(むねちか)さんに優しく口付けられて、私は身体に熱が灯るのを感じた。 「んっ……ぁ」  口付けを(ほど)いた宗親(むねちか)さんが、熱に浮かされてトロンとなったの私をじっと見つめてくる。 「どうして春凪(はな)は、いつまでもキミを裏切った男の言葉ばかりに囚われているの? 何故いま一緒にいる僕のことを信じようとしないの?」 「そ、それは……」  ――宗親(むねちか)さんが……私のことを好きじゃない、から。  少なくともこうちゃんは私のことを好きだと言ってくれていた。宗親(むねちか)さんとはそこのところが根本的に違うのです。  私が宗親(むねちか)さんのことを好きな気持ちは、こうちゃんの時とは違って一方通行で……。  こうちゃんのは一応そうじゃなかったから……あんなだったけど相互関係があるように思えてて。  だから宗親(むねちか)さんの優しい言葉は全てに聞こえてしまうんです。 (本心からそう思われているのなら、心の底から嬉しいって思えるのに!) (宗親(むねちか)さんのこと、信じられるのに!) (こうちゃんのひどい言葉なんてあっという間に上書き出来ちゃえるのに!)  そんな風に思ってるだなんて、烏滸(おこ)がましくて言えるわけないっ。
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