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「もしも春凪にその気がないのに義務感から無理をさせてしまっているのだとしたら……そんなキミを抱くのは僕の本意じゃないというのも理解しておいて欲しいですね」
私は宗親さんの真剣な眼差しに一瞬怯みそうになって。でもここで目をそらしたらダメだって思い直した。
「宗親さんに抱かれるの、嫌だなんて思いません。だって私、いつも言ってるじゃないですか。貴方のお顔とお声は好みのどストライクですって。好みの男性に手を出されて嫌だと思う女がいると思いますか?」
あえて心の底から宗親さんのことを好きになってしまったという本心はひた隠しにして。いつものように軽い調子で「好みのどストライク」なのだから、というところを強調したら、宗親さんが肩の力をふっと抜いていらした。
「じゃあ震えているのは何故?」
納得してくださったのかと思いきや、宗親さんったらどこまでも食い下がっていらっしゃいますね?
もういっそのこと「そっか。だったら遠慮なくいただきますね」で良いじゃないですか。
聞かれれば聞かれるほど私、惨めになっちゃうんですよ?
好きな人に自分のことを好きだと言われて身も心も愛されたい。
それが無理だから、せめて身体だけでも……。
でも肝心な身体にも自信が持てないから怖くて震えてしまうんです。
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