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「いっ、家でまで上司みたい喋り方しないでくださいっ」
照れ隠し。宗親さんを恨めしげに睨んだら、彼は一瞬驚いたように私を見つめてから、すぐさまクスッと笑って。
その笑顔は紛れもなく例の腹黒スマイルだったから、私は嫌な予感に身体をギュッと硬くした。
「それもそうですね。では、春凪のご提案通り、〝溺愛夫モード〟に切り替えましょうか」
ククッと喉の奥で楽しそうに笑うと、宗親さんが私の手からグラスを奪い取る。
「あっ、それ、まだっ――」
中身残ってます!って言おうと開いた口を、宗親さんのビールでひんやり冷えた唇で塞がれてしまう。
口中を掻き回す舌先に、すぐさま下腹部がキュンと疼いたのは、昨日の今日だから――?
「ふぁ、っ」
キスの合間、たまらず喘ぐように息継ぎをした私を満足そうに見下ろして、「春凪、キミは本当に可愛いね。こんな綺麗で愛らしい奥さんをもらえて、僕は幸せ者です」とか。
さっき、そういうモードに切り替えるっておっしゃってたし、本心じゃないのは十分すぎるほど分かってるのに、馬鹿な私はついついほだされそうになってしまう。
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