30.夫婦茶碗的な

15/19
前へ
/720ページ
次へ
「同じのにしたら、見分けがつかなくなっちゃうじゃないですか」  長く一緒にいるマグカップ(この子)を裏切れないという気持ちとともに、何とかして宗親(むねちか)さんとの間に、ある一定の線引きをしておかないとしんどくなっちゃう!とも思って。  私、自然に笑えているかな?って頭の片隅で考えながら言ったら「それもそうですね」ってちょっとだけ悲しそうな顔をされた――気がした。  きっとそれもこれも私の中の「そうだったらいいな」って願望が見せているものだと思う。 「――あ、でしたらこういうのはいかがでしょう?」  でも私の大好きな宗親(むねちか)さんは、一筋縄ではいかないのです。  ニコッと笑うと、宗親(むねちか)さんが「ちょっと失礼しますね」と言いながら私のパソコンをちょちょいと操作なさって。  私にある画面を見せてきた。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2324人が本棚に入れています
本棚に追加