31.同期会と宗親さんの嘘

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*** 「久々に連絡して来たと思ったら理由は聞かずに服貸してって……。もぉ〜春凪(はな)ったらわけ分かんないぞっ?」  私は散々迷って、宗親(むねちか)さんと色々あって以来連絡を取れず終いになっていた、親友の坂本ほたるにSOSの電話をかけた。  ほたるのアパートはMisoka(ミソカ)からも近いし、何より私が薄らぼんやりと歩いてたどり着いてしまったこのバス停が、【最寄りの交通機関】として不動産情報に載っていたような立地の物件。  北条くんには「参加するつもりじゃなかったから支度(したく)する時間を下さい」とお願いして、「一時間後に【双葉台のバス停】で」と約束をして、通話を切って。  その後、ダメ元でほたるに電話をかけてみた感じ。  ほたるだってもう学生じゃない。  もしかしたら残業やなんかで家にいないかもって思いながらコールしたら、幸いにもちゃんと在宅で。 「ごめんね、ほたる。何も聞かずに服を貸して欲しいの」  私、数ヶ月ぶりに連絡しておいて開口一番そんな突飛なことを言ったのに、ほたるは「とりあえず会って話そっか」と苦笑しながらも家に呼んでくれて、訪れた私がびしょ濡れなことに驚いてお風呂まで使わせてくれた。
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