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「で? その同居人の上司と喧嘩しちゃって……ずぶ濡れになったのに家に帰れない、と」
小さく吐息を落としたほたるが、「もぉ〜、相変わらず何やってるのよ!」って苦笑しながらも、下着姿にタオルを巻き付けて出てきた私に、着られそうな服を見繕ってくれる。
私より十センチ以上身長の高いほたるの服の中から選ぶには、パンツルックはどれも足の長さが違い過ぎて無理で。
「このワンピなら何とかいけるかなー」
言われて手渡されたのはカーキ色のシャツワンピース。
ウエストのところに紐がついていて、そこをギュッと絞れば、背の低い私でもまあまあの長さで着こなすことが出来そうなデザインだった。
「ありがとう」
お礼を言って受け取ったら、
「下着は濡れてないの?」
と心配そうに眉根を寄せられる。
「幸いそこまでは」
ほんのちょっとブラが湿っぽい気がするけれど、着替えないといけないほどじゃない。
無意識に胸元をつまみながら言った私に、「さすがに私、春凪の大きな胸をカバーできるようなブラは持ってないからね?」ってクスクス笑われて。
私は宗親さんの件でずっと張り詰めていた気持ちが、ほたるのおかげでほんの少し解された気がした。
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