31-2.その頃の宗親

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 胸騒ぎを覚えた僕は、エプロンを手にしたまま急いで玄関を開けて。  上がりかまちのところに無造作に小箱が落ちているのに気がついた。 (これ、今日届く予定だった……?)  開けてみるまでもなく、送り状の品名のところに「マグカップ」と書かれていたから、本日到着予定になっていたペアマグカップだと分かる。  春凪(はな)はこれを受け取るために僕より早く帰宅したはずだった。  確か宅配の受け取りに印鑑がいると春凪(はな)からメッセージがあって。  スマートフォンを取り出して春凪(はな)とのやり取りを開いてみると、送受信があったのは三時間ぐらい前だった。 「春凪(はな)?」  さすがに同期会の集合時間も過ぎているし、家には居ないだろうなと思いながらも胸騒ぎがして呼びかけずには居られない。  廊下を抜けてキッチンに入ると、キッチンカウンターの上にサバの味噌煮込みなどがまるで定食屋のそれみたいにトレイの上に綺麗に並べられていて。  汁椀だけは伏せて置かれていた。
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