32.春凪の愚痴と宗親の本心

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 結局新たな店を見つけるのが面倒だと言う話になって、同期会はコンビニでお酒やおつまみを買って、足利(あしかが)くんの家ですることになった。  みんなにお伺いを立てて、大好きなカマンベールチーズをカゴの中に入れさせてもらったところへ、 「足利(あしかが)()さぁ、防音だけは完璧だから少々騒いでも平気だよぉ〜」  そう言ってニコッと笑ってくれたのは営業のワンコ系・武田(たけだ)くんだった。 「だけってなんだよ。他も結構充実しとるわ」  ムスッとした顔で足利(あしかが)くんが言って、北条(ほうじょう)くんが「この男、こう見えてバンドに入ってる」と教えてくれる。 「バンド?」  聞いたら「そうそう。俺、ヴィジュアル系バンドのヴォーカルなんだぜ?」とか……。  体育会系にしか見えない足利くんから、V系バンドのイメージがわかなくて、人って見かけによらないなって思ってしまった。 「今度カラオケで俺の魂の叫び(シャウト)、披露してやるよ」  ニカッと笑って自信満々な足利くんに、「人の趣味をとやかく言うつもりはないが、他人を巻き込むのはやめてやれ」と北条くんはにべもなくて。
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