32.春凪の愚痴と宗親の本心

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*** 「お邪魔しました」  言って、足利(あしかが)くんに手を振ったら、「北条(ほうじょう)、お前送り狼になるなよ?」と足利くんが私の横に立つ北条くんを睨んで。 「文句があるなら眠りこけて起きない武田(たけだ)に言え」  と睨み返されていた。  結局揺すってもペチペチ叩いても半覚醒にもならない武田くんは、足利くんの家に泊まることになって。  結果私は北条くんと二人きり。彼にほたるの住むアパートまで送ってもらうことになってしまった。  お(いとま)すると言う間際になって、北条くんはどこかに電話を掛けていて。  もしかして彼女さんが家で彼の帰りを待っているのかな?とソワソワする。 「あにょ、(わらし)ひとりれもちゃんと(ちゃんろ)帰れましゅよ?」  ビシッ!と敬礼しながら言ったら、逆にふらついて北条くんに支えられてしまう。  うー。申し訳ないっ。  と思ったのも束の間、 「フリーでもない女の肩を抱く趣味はない。シャキッと立て!」  キッ!と睨みつけられて私は「はい(ひゃい)! しゅみましぇ……っ」と慌てて北条くんから離れた。
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