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「Misokaに連絡を下さったのはキミですよね? 本当に助かりました。有難う」
言って、宗親さんが北条くんに頭を下げる気配がして、「――お礼はまた後日改めてさせていただきます」と付け加える。
その一連のあれこれに、宗親さんにしっかり捕まえられたままの私は「えっ?」と思ってしまう。
あのプライドの高い宗親さんがこんなにあっさりと人に――それも自分より目下の男性に頭を下げるだなんて信じられなかったから。
それも、多分私絡みのことで――。
「いえ、Misokaを出る前にマスターから頼まれたので約束を果たしたまでです。予約をしたのに店を変えるという非礼もしてしまいましたし、何より彼女のことを誰かが迎えに来てくれると言うなら、俺も酔っ払いの面倒を見なくて済みます。――お互い様ですので礼には及びません」
二人の会話を宗親さんに羽交い締め――ではないけれど気分的にはそう!――にされたまま聞くとはなしに聞いていた私は、そこにMisokaのマスターが絡んでいると聞いて「へ?」と思う。
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