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こんな状態、同期には余り見られたくない。
そう思って、恥ずかしさに〝望まぬ現状に困っていますアピール〟で眉根を寄せたら、
「――柴田春凪。とりあえず一旦冷静になれ。嘘をつかれたとショックを受けて俺たちの前で泣いてしまう程度には織田課長のことが好きなんだろう?」
って特大の爆弾を落とされた。
途端、宗親さんがピクッと反応したのが分かって。
私は慌てて「ち、違っ!」と北条くんの失言を否定した。
宗親さんの前で「好き」とか勝手にバラさないで!
偽装結婚なのに本気だなんて知られたら引かれちゃうじゃない!
しかも……その偽装結婚だって、実際は〝嘘っこ〟だったのに。
でも考えてみたら私、宗親さんのことを好きな気持ち、誰にも話したことない。
話したらマズイってちゃんと自覚しているから。
なのに――。
北条くんのバカぁ! 勘が良すぎるのもここまでくると腹立たしく思えてしまうよ。
宗親さんの腕の中でキッ!と北条くんを睨みつけたら、
「とりあえず、邪魔者は帰ります。あとはお二人でゆっくりどうぞ」
彼にフッと鼻で笑われて、私は宗親さんに抱きしめられたまま、「北条くんのバカー!」と叫んでいた。
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