2324人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒエッ。
真っ暗闇ならよかったのに、残念ながらすぐそばに足利くんのマンションのエントランス付近を照らす灯りが灯っていて。
私はマトモに宗親さんのお顔を見てしまった。
だっ、大好きですっ!
そのハンサムなお顔もゾクゾクするような素敵なお声も、どこか掴み所のないひねくれた性格も……何もかも!
などとほだされそうになって、緩みかけた口元を私は慌てて引き締めた。
「春凪……。僕の目を見てちゃんと話して?」
う……。
それは反則ではありませんか?
私は宗親さんの真剣な表情に、心のうちまで全て見透かされた気持ちになってしまう。
「わ、私……」
何だか目端にじんわり涙が浮かんできて、私はどうしたらいいのか分からなくなる。
本当は、「大好きですけど何か文句ありますか⁉︎」と逆ギレしてしまいたい。
だけどそれが出来たら苦労はしないの。
「……こんなの卑怯だし最低ですね」
オロオロとする私を見つめていた宗親さんが、小さく吐息を落としてそうつぶやいて視線をそらしたから。
私は呆れられてしまったんだと怖くなった。
最初のコメントを投稿しよう!