32.春凪の愚痴と宗親の本心

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 もぉ!  北条(ほうじょう)くんといい足利(あしかが)くんといい、私の同期は一体何なの!  飲み会でのアレコレは酒の席だけのオフレコよ⁉︎  門外不出が鉄則でしょー⁉︎  今のところ無害なの、武田(たけだ)くんだけじゃーん!  まぁ、彼はあのとき寝てて、問題の場面(シーン)を見逃しただけに過ぎないけれど、見てないから安全(パイ)であることに変わりはないもの!  真っ赤になってフルフル震える私に、 「どうやら僕のせいでキミが泣いてしまったというのは動かしようのない事実のようです。――本当に申し訳ない」  謝意とは言葉裏腹。  宗親(むねちか)さんがどこか嬉しそうにささやくの。  しかも「可愛い」の甘々付きで。 「その件は家でゆっくり弁解させてくださいね?」  ふわりと優しく言われて、耳朶にチュッと口付けられた私は、ビクッと身体を震わせて「……ひゃいぃー!」と耳を押さえて真っ赤になりながらコクコクと頷いた。  なっ、何なの、何なの何なのー⁉︎  足利くんが目の前にいるの、忘れてないですかー⁉︎ 「それで足利くん、何か用があったんじゃないんですか?」  宗親さんが気持ちを切り替えたように足利くんに言って。  足利くんが「あ! そうだった」と、手にしていた二本の傘のうちの片方を私に差し出してくる。 「玄関に置き去りになってんのに気がついて上から覗いてみたら、まだいるみたいだったから急いで持ってきたんだ。雨止んだから忘れてったんだろう?」
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