32.春凪の愚痴と宗親の本心

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***  結局ほたるには電話だけではなく、直接会いに行くことになってしまった。  宗親(むねちか)さんが、「春凪(はな)がお世話になったのですから」と譲ってくれなくて。  押し問答の末、半ば押し切られる形で彼と訪問することになったとほたるに連絡する羽目になったのだけれど。 「夜ですし、春凪(はな)だけだと思って応対したのに僕が居たら驚かれるかも知れないでしょう?」  主に、ほたるの服装などの面で心配してくださっているみたい。 「しょれならっ、訪問自体を(ひきゃ)えたらいいんれしゅよ」  言ったら、「お金もお借りしているようですし、そういうわけにはいきません」って意味が分かりません。  彼が一緒だと伝えたら、ほたるはとても慌てていたけれど、反面私の〝婚約者〟に興味も持ったみたいで。 『お願い。三十九分ちょーだい!』  と勢いよく電話を切ってしまった。  ちょと待って、ほたるっ。  何故にそんな中途半端な数値指定っ⁉︎
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