33.彼には彼なりの理由があったわけで

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*** 「春凪(はな)、キミを捕まえたときからずっと気になっていたんですけどね……」  家に帰って玄関扉が閉まるなり、宗親(むねちか)さんがそうつぶやいて。  私の左手をギュッと握って口付けてくる。 「ひゃっ」  いきなりそんなことをされるとは思っていなかった私は、思わず手を引っ込めようとして。  思いのほか強く絡められた宗親さんの手指にそれを阻まれる。 「あ、あのっ」  足利(あしかが)くんの(マンション)の前で立ち話をして。Misoka(ミソカ)に行って。ほたるの家に寄って。  さすがにもうすっかり酔いも覚めてきた私は、言葉遣いもほとんどマトモに戻っていた。 「い、いきなり何ですかっ? 宗親さっ、家に帰ったら嘘ついた理由、教えてくださるんじゃなったんですか?」  あっ。  い、今の「きゃ」は舌を噛んじゃっただけで、別に呂律(ろれつ)が回らなくて、とかじゃありませんっ!  信じてくださいっ!  手を離してもらえないことに不安を覚えながら問いかけたら、宗親さんが小さく吐息を落として。 「とりあえずリビングに行きましょうか」  って、それ、私のセリフですからね⁉︎
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