33.彼には彼なりの理由があったわけで

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 宗親(むねちか)さんは明智(あけち)さんと旧知の仲で、私がコウちゃんと、彼が飲食した分まで支払っちゃうぐらい媚びへつらってお付き合いしていた頃のことをご存知。  Misoka(ミソカ)のマスター明智(あけち)さんはそんな私に、いつも信じられないぐらいお安くお酒とおつまみを提供して下さっていた。  それこそ採算度外視な割引率だったけど、別に明智(あけち)さんはお金持ちの道楽でMisoka(ミソカ)をやっていらっしゃるわけじゃなくて――。  宗親さんはそんな彼に感謝する私に、悲しそうな顔をして「僕なのに」っておっしゃった。  えっ。ちょっと待って? これってもしかして――。 「――宗親さんのお陰……だったの?」  私が信じられないような破格でMisoka(ミソカ)のサービスを受けられていた理由。 「宗親さんが……足りないところを補填(ほてん)して下さっていたから……私あんなにお安く――?」  そこまで言ったら、宗親さんがグッと唇を噛んで、「恥ずかしいからそれ以上言わないで」って私の頭をご自分の胸元に押さえつけるようにして口を封じてしまう。 「一生隠し通すつもりだったのに春凪(はな)がいけないんです。明智(あけち)をあんまり褒めるから」
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