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バーだし、夜がメインなことを思えばお日様の下で目立つ必要なんてないってことかしら?なんてどうでもいいことを思いつつ。
斜め上方にばかり気を取られていた私は、後少しでMisokaの入り口って所で建物の隙間の狭い路地から出てきた手に、いきなり右腕を掴まれて引っ張られた。
「キャ」
ァァァァ!と続くはずだった悲鳴は、私をギュッと腕の中に閉じ込めた相手に、空いている方の手で口を押さえつけられて呆気なく封じられてしまう。
鼻も一緒に押さえられたから、息が苦しくて涙目になって。
恐怖に震える手で口を覆う相手の腕を、それでも必死にギュッと掴んだら「春凪、俺だよ」と名前を呼ばれて「え?」と思った。
「俺だ」って言われても、背後から押さえつけられている私には相手の顔が見えないの。
だけどこの声。
確かに聞き覚えがある。
ゆっくりと、私の反応を窺うように口に当てられた手と、抱き止める腕の力が緩められた私は、一生懸命息を吸い込みながら恐る恐る背後を振り返って。
「こう、ちゃん……」
付き合っていた頃より痩せて目がギラギラしている印象になってしまっているけれど、それは確かに元彼の康平だった。
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