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「宗親さ、……私に……怒って……お、られない、んですか?」
恐る恐る問い掛けたら、小さく吐息を落とされて泣きたくなってしまう。
私は宗親さんの一挙手一投足、彼の反応の全てにビクビクしている自分に気が付いた。
「何で僕が春凪に怒らなきゃいけないの? 春凪は悪いことなんてひとつもしていないのに」
とても静かな声音で告げて、私をじっと見下ろすと、「まぁ、キミをこんな目に遭わせた男には、はらわたが煮え繰り返るほど憤りを覚えていますけどね」と怒気を滲ませる。
一瞬だけ宗親さんの視線が物凄く鋭くなったのを見てしまった私は、ビクッと身体をすくませた。
今まで散々腹黒スマイルを浮かべる宗親さんにゾクゾクさせられてきたけれど、いまの彼はそんな生やさしい空気を纏ってなんていなかったから。
不安の余り、宗親さんをじっと見つめたら、宗親さんの視線が着衣の乱れを隠すためにギュッと握りしめたままの私の胸元に流されて。
「――春凪、ちょっといい? ボタン……」
そんな声とともに彼の手がこちらに伸びてきたから、私は思わず身体をすくませて丸まった。
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