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部屋に戻るなり宗親さんにソファに座るように促されて、私はシャワーに直行したい気持ちを賢明に押さえつける。
「お風呂場で濡れたら沁みるでしょう?」
言われて、救急箱を取ってきた宗親さんから、先ほど応急処置で当てられたラップを取り払われて。
「幸い傷自体はそんなに大きくないみたいでホッとしました。傷口も綺麗に洗い流せてるみたいだ」
言われて、傷口をすっぽり覆い隠してしまう湿潤パッドをあてがわれて。
「一応上から防水フィルムもかけときますね」
まるで看護師さんみたいに、手際よく私の傷口を覆ってしまう。
「あ、あの……本当に何から何まで……有難うございます」
ラップで包まれていた時より痛くない気がするのは、傷口に触れる部分が柔らかな素材に変わったからだろうか。
「じゃあ、あの……私、お風呂へ……」
ギュッと胸元を握りしめたままの手が、段々感覚を失ってしまう程度には私、力を入れてそこを閉じ続けているみたい。
早くこの服を脱ぎ捨てて、全部全部リセットしたい。
そう思うのに、立ち去ろうと踵を返したところで、宗親さんに手を握られて引き止められてしまう。
「あ、あの……」
――まだ何か御用がおありなんでしょうか?
戸惑いに揺れる目で宗親さんを見上げたら、そのままグイッと引き寄せられて、彼の腕の中に閉じ込められた。
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