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「んっ、ぁっ……」
そうしてあごを捉えられて口付けを落とされた私は、どうしたらいいのか分からなくなる。
――わ、私、汚れていますっ!
――宗親さんに触れて頂ける資格なんてないんです。
――せめて……せめて綺麗に全身を清めた後じゃ……ダメですか?
「宗親さっ、……だ、めぇっ」
あれこれ思って、一生懸命宗親さんの胸を押し退けて顔を賢明に背けたら、宗親さんが有無を言わせず私を抱き上げた。
「あ、あのっ」
オロオロする私のことなんてお構いなしに、そのままお風呂場に連れ込まれて、宗親さんに乱暴に身包みを剥がされてしまう。
「やぁ、……ダメっ」
胸元に、康平に乳房を鷲掴まれた時についたらしい鬱血痕が五つみえて。
グッと元彼の指先がやわ肉に食い込んだ時の痛みが蘇った私は、必死にそれを手で覆い隠そうとして宗親さんに阻止されてしまう。
自分では気付かなかったけれど、脱衣所の鏡に映った自分の姿をふと見たら、首筋にも両手首にも同じように指の痕が残っていて。
胸にばかり気を取られていたけれど、宗親さんはずっと私のこんな醜い姿を見ていらしたんだと思ったら、恥ずかしさにブワリと涙が込み上げた。
「やっ。宗親さ、お願っ、離して……っ」
言葉を発した途端、堰を切ったみたいに涙がポロポロとこぼれ落ちた。
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