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恥ずかしさと照れ臭さにギュッと縮こまった私をほぐすみたいに、浴室に入るなり宗親さんが所在なく立ち尽くす私の唇に優しく口付けを落とした。
お湯になるのを待つためかな。
そっぽを向かせたままコックを捻られたシャワーヘッドから、まるでノイズのようにシャーッという流水音が流れ続けている。
それがぼんやりとした頭に心地よく響いてきて、私は宗親さんからのキスにうっとりと身を委ねて。
宗親さんの唇が、首筋に降りてきたのを感じて「んっ」と小さく喘いだら、「春凪は本当に可愛いね。大好きです」と、宗親さんが熱のこもった声をすぐ耳元で吹き込んでくる。
大好きな宗親さんの低音イケボで告げられる「大好き」はじんわりと私の心に染み込んで、傷ついた心を優しく包み込んだ。
まるで麻薬みたいな彼の声にうっとりと身を委ねていたら、チクッとした甘やかな痛みが首筋に走って、私は宗親さんがそこにキスマークを残したんだとぼんやりと思った。
その行為は首筋から手首、手首から胸へと続いて。
いつしか私は、直接当てられないままに湯気とノイズだけを撒き散らすシャワーで温められた壁に押し付けられるようにして、宗親さんからのキスを享受していた。
肌にチクッとした痛みが走るたび、康平から与えられた屈辱が吸い出されていくようで嬉しくて。
「宗親さ……」
――お願い。もっとして?
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