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全部が全部思い通りにはならないのは承知しているし、ある程度は両親の方の存意も汲まねばならないだろう。
ああ。僕だって自分だけのことならいくらでも聞いてやるさ。
だけど――。
春凪にとって、結婚式は一生に一度の晴れ舞台だ。
僕は夫として春凪の意思を最大限尊重する義務がある。
表向きは父親がトップということになっている織田の会社も、実質的に力があるのは織田の血を引く母・葉月の方だ。
大方母からせっつかれて来たんだろうが、ご苦労なことだな、と思って。
惚れた女にメロメロと言う意味で、僕は目の前の父親に共感を覚えないではない。
だから全否定をすることだけは控えたのだけれど。
父は結婚式のことのみならず、僕の妻になるという大義名分で春凪の身の振り方についてもアレコレと口出しして来たから。
存外それらの話が長引いてしまった。
お陰様で着替えに戻るのもシャワーを浴びに帰るのも諦めた僕は、押っ取り刀でMisokaに向かう羽目になって――。
だけど後から思えば、もっと早く駆けつけるべきだったんだ。
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