37.落とし前をつけてもらいましょう

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「まさか。指輪自体はとても良い品で気に入っています。ただ、少し問題が起きてしまいましてね――」  僕の言葉に電話口。  珠洲谷(すずや)さんが構えるように小さく息を呑んだのが分かった。  僕は彼女に二言三言頼み事をすると、「もちろん謝礼はさせて頂きますので、出来るだけ急いで下さい。の方は夕方取りにうかがいますのでそのつもりでご準備の方、よろしくお願いします」と念押しして電話を切った。 ***  耐熱用の小さなグラタン皿に、ふんわりご飯を敷き詰めて、麺つゆを回し掛けてから軽く混ぜ合わせて味を見る。 (こんなもんかな)  あまり濃い味にしたら、弱った春凪(はな)の身体に差し障りが出るかもしれない。  かといって味気ないのも美味(うま)くないし。  後でチーズを載せることも考えて、気持ち薄めかな?という塩梅(あんばい)に調整すると、ご飯の真ん中を窪ませてそこに生卵をひとつ落とした。  その上にプロセスチーズで出来た「濃厚」「クリーミー」が売りの、とろけるスライスチーズをのせて炒りごまを散らしてからオーブンへ。  チーズの焼かれる香りがキッチンに充満し始めたころ、春凪がまだ寝ぼけているのかな。  少しトロンとした表情で、寝室から出てきた。
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