37.落とし前をつけてもらいましょう

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宗親(むねちか)さ……」  そんな僕をじっと見つめて春凪(はな)が泣きそうな顔をするから。  まだ気持ちの整理が付き切っていないんだな、と切ない気持ちになった。  そりゃあそうだ。  元彼が相手とはいえ、あんな怖い目に遭わされたんだ。  僕はカウンターから出ると、春凪のすぐ横に立って、彼女をスツールに腰掛けるよう誘導した。 「そういえば春凪。今朝ね、明智(あけち)からメールが来たんですよ」  努めて明るい声で言って、メッセージアプリを立ち上げると、『俺、ほたるちゃんと付き合うことになった。一応報告な』と、絵文字も顔文字もスタンプすらない、味気なく綴られた文面を春凪に見せる。  本当はその後に春凪のことを心配するメッセージが続くのだけど、あえてそこは表示しないよう画面をスクロールして調整した。  今は春凪に、昨夜のことを思い出させるようなことはしたくないと思ったから。 「春凪にもほたるさんから幸せ報告の連絡が来てない?」  聞いたら、春凪がハッとしたように瞳を見開いて。 「スマホ……ずっと見てませんでした」  とポツンとつぶやいた。
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