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「時に春凪。今日は友引なんだ」
「――え?」
友人の恋が実った話から急に、六曜の話題に移行したからかな?
春凪がキョトンとした顔をした。
「明智とほたるさんの幸せ報告が聞けた記念すべき日でもあるし、僕らもずっと保留にしていた婚姻届を一緒に出しに行って、二人に良い知らせをしませんか?」
春凪的には〝大安〟が一番望ましいのかも知れないけれど、明智たちがいい感じになったことに託けるには、今日の〝友引〟はこの上なく最適に思えたのだ。
まぁ、次の大安までの数日間が待てなかったと言えばそれまでなんだけどね。
春凪と気持ちが通じるまでは出したくないと思って……。そのくせ春凪を手放すのが怖くて彼女には「出した」と嘘を付いていた婚姻届。
その嘘のせいで、僕は危うく春凪を失うところだった。
以前ハッタリで一人で勝手に出しに行ったと話したとき、一緒に行きたかったと責めてきた春凪を思い出して、本当は出してなんていないと言えないままに「大丈夫です」と言った日を思い出す。
あの時春凪は、僕の言葉をどう言う意味だと捉えたんだろう。
「……宗親さん……でも、私……」
きっと婚約指輪を奪われたままなのを気に病んでいる春凪を、僕はそっと抱き寄せた。
「婚約指輪は僕がちゃんと取り戻せるよう手配するから大丈夫。でも……少しだけ時間がかかるかも知れないんだ。その間、キミに僕のモノだって印がないのは正直不安でね。だから――」
そこで春凪を抱きしめる腕を少し緩めると、僕は彼女の目を真正面からじっと見つめて。
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