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だからこそ、揃いのリングで彼女と繋がっていたいと痛切に思うんだ。
僕の方には、石は愚かメッセージだって入ってやしない。
だけど、ぱっと見はどう足掻いたってお揃いのリングだと一目瞭然だからそれでいい。
「宗親さんと……お揃い? あの、私とそう言う関係だってバレても……その……平、気……なんです、か?」
「もちろんだよ。寧ろ、この可愛い人は僕の奥さんなんです!って……誰彼構わず言いふらしたいくらい」
言って、照れまくる春凪に軽く啄むみたいな口付けを落とすと、僕は彼女を真正面から見詰めた。
「だからね、――柴田春凪さん。僕と……今すぐ入籍してください」
「い、今すぐって。……むっ、宗親さんは……いつもいつも急過ぎますっ」
僕の強引なプロポーズに、春凪が困った様な顔でそう言うから。
僕は眉根を寄せて「ダメ?」と畳み掛けた。
そんな僕に、春凪はとことん甘いんだ。
「……ダメ……じゃ、ない、です。ホントは……すっごくすっごく嬉しい、です」
そう言ってはにかみながら了承してくれたのを確認して、僕は春凪をギュッと抱きしめた。
前田康平。
僕の大事な妻を傷付けたんだ。
もちろん覚悟は出来ていますよね?
必ずきっちり落とし前をつけてもらいますから、そのつもりでいてください。
春凪を腕の中に閉じ込めたまま、僕はこれからの算段を練った。
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