38.心を鬼にして

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 それはどう見てもネックレスとイヤリングのデザイン画で。  どの絵も、婚約指輪に使われている七石のダイヤを再利用したと思われる図案になっていた。  真ん中の大きなダイヤはネックレスのトップに。両サイドの小振りのダイヤ六つは数個ずつに分かれてイヤリングに持っていったり、数個だけネックレスのトップと一緒に、と様々なバリエーションが考えられているみたい。  イヤリングの方は、全て石が左右対称に同じ数ずつで分かれているのかと言えばそうじゃなくて、アシンメトリーを狙ったのかな。左右非対称に分かれているものもあって。  各々の洗練された美しいフォルムに、私は思わず見惚れてしまう。 「気に入るのがありそう? ――指輪はさ、結局のところどちらも僕の好みや母の意見を優先してしまったから。普段使い出来るようこの指輪をリメイクする時は、春凪(はな)の好みを最大限反映したいって思ってる」  デザイン画の段階なので、私がこうして欲しいと意見を出せば、そのように変更することももちろん可能なのだと付け加えられて――。  元々それほどアクセサリーに関して物凄いこだわりがある方ではなかった私は、宗親(むねちか)さんの言葉に慌ててフルフルと首を振る。 「どれも凄く素敵で何か意見をいうとか烏滸(おこ)がましいですっ。それに――」  きっと指輪を他のアクセサリーに作り直してもらうと言うのは沢山お金がかかるんじゃないかなって思って。 「そこまでして頂くのは何だか申し訳ないです」
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