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元々素敵なデザインのリングなのだ。
康平とのことでケチが付いて、心情的にこのままの形で身に付けることが出来るかどうかすら怪しくなってしまったのは、私自身の問題。
決して指輪のせいなんかじゃない。
だけど現状のまま身に付けるのが無理なことは紛れもない事実だったし、作り直してリセットしてもらえるなら、凄く凄く嬉しいって思って。
なのに――。
どうしても金銭的な負担などを考えて、私は素直に首を縦に振れないの。
「あの男にケチをつけられたリングのまま、春凪にそれを身に付けてもらうのは、僕がどうしても嫌なんです」
なのに宗親さんはそんなことを言って私を腕の中に抱き寄せると、「ね? 春凪。お願いだから僕の気持ちを汲んで?」って耳元で懇願する様に囁いてくる。
私は宗親さんの〝お願い〟に絆されるみたいに小さくコクッと頷いた。
でもね、宗親さん。私、本当は分かってるよ? 宗親さんが、私の本心を見抜いて……その上で素直になれない私を救う形でご自身が全ての責を負って私の心の負担を肩代わりして下さったこと。
「宗親さん……。大好きです」
そう思ったら殆ど無意識。私は宗親さんにギュッとしがみついて、そうつぶやいていた。
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