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「春凪ぁ~」
Misokaに入ると同時、ギューッとほたるに抱きしめられて、私は照れ臭くなってしまう。
「ごめんね。何かすっごく間があいちゃった」
言いながら、私はほたると明智さんに、宗親さんと二人で選んだお祝い品――ペアのマグカップ――を渡した。
クリスマス前で書き入れ時だというのに、Misokaは今日、私たちのためだけに貸し切りになっています。
*
康平につけられたアザが――というよりその上から宗親さんが上書きしてくださったキスマークが――全て消えるのを待っていたらほたるや明智さんとの集まりがどんどん先延ばしになって。
そうこうしている内に披露宴の打ち合わせや、宗親さんの『神代組』退職関連の引継ぎなどでどんどん多忙になってしまった。
夏に付き合い始めたほたると明智さんだったのに、結局会えたのは十一月のいい夫婦の日にあった、私と宗親さんのお式で。
その時も私、親族たちに囲まれてほとんど話せないままに新婚旅行へ旅立ってしまったから、ほたるとまともに話せたのはクリスマスも目前に迫った年の瀬のことだった。
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