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「きょ、今日って二十日だよね? 三十日なんてすぐそこじゃん」
それを誤魔化すように慌てて言ったら、ほたるが形の良い眉を寄せた。
「そう、もうすぐそこなの。なのに私、プレゼント、まだ決められてない! ねぇ、どうしよう、春凪っ。何あげたらいいと思う?」
二人にとって、付き合いだして初めての誕生日。そりゃあ色々考えちゃうよね。
「ほたるは誕生日、明智さんから何もらったの?」
あまり考えずに聞いたら、「付き合い始めたの、私の誕生日より後なの。明智さんの誕生日の方が先にきちゃうのよぅ」とほたるが唇を尖らせる。
(ヤダ、ほたる。めちゃくちゃ可愛いっ)
ほたるの誕生日は七月二十八日。
言われてみれば、二人が付き合い始めたのは晩夏の頃だからそうなるよね。
「ねぇ春凪。春凪は織田さんの誕生日、何あげたの?」
言われて、私はぐっと言葉に詰まった。
私の誕生日――四月二十日――は付き合っているんだかいないんだか微妙な時期に過ぎてしまったからいいとして。
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