39.女子会・男子会的な

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 真ん中のところで一口大。斜め切りにカットされた生春巻きは、半透明な皮の中、紫キャベツやきゅうり、水菜、アボカド、トマトが一緒に巻かれているのが見て取れた。 「作り置きだけど味は保証してやる」  生春巻きが六本分乗っかった皿とは別に取り皿かな? 小皿と箸を手渡された僕は、早速目の前に置かれたつまみを小皿に取ってから口へ放り込んだ。 「柚子(ゆず)胡椒(こしょう)?」  どうやら中にあらかじめ柚子胡椒入りのドレッシングが忍ばせてあるらしい。  スモーク臭とともに鼻へ抜けた爽やかな柚子の風味と胡椒の刺激を、素直に美味いと思った。 「後付けで柚子レモンソースを掛けて食うのも美味い。――ま、今回はお前相手だから作んねぇけどな」  ククッと笑う明智(あけち)に「僕相手でも作れよ」と言ったら「腐れ縁のくせに他のお客さんやほたるちゃんたちと同じ扱いなんて期待すんな」と笑い飛ばされてしまう。 (本当、こいつのこういうところ)  明智の、僕に対しても遠慮のない裏表ない態度が、普段織田(おりた)御曹司(おんぞうし)という色眼鏡で見られがちな僕にとっては新鮮で逆に嬉しかったりする。  そんなことを言ったら、目の前の悪友は嫌な顔をするだろうか。
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