39.女子会・男子会的な

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* 「親がさ、言うんだ。春凪(はな)に仕事なんて続けさせて子供が出来たらどうするんだ?って」  明智(あけち)が、僕同様生春巻きを小皿に取り分けて口に運んだのを見届けてボソッと言ったら、「え?」と問い返された。 「だからっ。子供だよ、子供」  我が子が結婚したのだから、親がそういうことを考えるのは自然な流れなんだろう。  ましてや僕は、一応織田(おりた)の跡取り息子。  もちろん織田(うち)には妹だっているから、絶対に僕たちがその責務を負わないといけないわけじゃないんだけど、残念ながら夏凪(かな)にはまだ結婚の予定はおろか恋人の影もない。  となれば、必然的にこちらへの期待値が上がってしまうのは仕方ないことだろう。  自分がオリタ建設に戻るにあたって、妻も神代組(かみしろぐみ)から引き抜きたいと話したら、神代を辞めさせるのは賛成だが、オリタに連れてくるのはなしだと言われた。  両親は、子供が出来た場合に備えて春凪は家にいた方が得策だという考えらしい。 (すでに彼女が身ごもっているとかならまだしも気が早過ぎだろ!)  そう思った僕が『もし仮に春凪が妊娠したとして、すぐさま仕事を辞めねばならないとは思わないんですけどね?』と反論したら、『春凪さんの性格を考えた上で言ってるの?』と、母から溜め息をつかれてしまった。  何度か春凪と接するうちにさすがと言うべきか。  母はもちろんのこと父も、春凪の特性を見抜いてしまったらしい。
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