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奪われた指輪を手元に取り戻すのも比較的早くいけたものの、春凪に手渡すまでに時間を要してしまったのは、電話で珠洲谷さんにお願いしていたもう一つの書類――指輪のリメイクに関わるデザイン画が仕上がるのを待っていたからに他ならない。
春凪の性格からして、あんなことがあった指輪を何事もなかったように身に着けることが出来るとは思えなかったから。
僕が春凪の幸せを願って贈った指輪が、春凪を悲しい気持ちにさせてしまうアイテムになるのは悲しすぎる。
春凪自身のためにも、あれを別のものに生まれ変わらせることが出来るよと示すことは、春凪に指輪を早急に手渡すことよりも僕にとっては重要なことだったんだ。
「あの男、僕としては八つ裂きにするか……それが無理でもせめて無期懲役くらいにはしてやりたいんだけど……。さすがにそこまでは無理だろうって弁護士から言われた」
弁護士の言うことはもっともだと思うし、それが妥当な筋だと分かってはいてもやるせない気持ちはどうしても付きまとう。
あの日、僕は傷ついた春凪を嫌と言うほど見せつけられたのだから仕方がないじゃないか。
それと同時――。
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