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八月七日の宗親さんのお誕生日に何のお祝いも出来なかったダメダメ妻な私としては、何としてもこのクリスマスだけは外せなかったの。
ほたると、Misokaで二人、男性陣の気配を気にしながら作戦会議をして、プレゼント選びに出掛けるならそこしかない!という結論に達したのだ。
「あ、あの……ほたるから明智さんのお誕生日プレゼントを選ぶのに付き合って欲しいって頼まれて……それで」
恐る恐る彼の様子を窺うように顔を上げて。
本当は自分自身が宗親さんのクリスマスプレゼントを選びたい癖に、すべての罪をほたるに擦り付けるような言い方をした私に、宗親さんが一瞬だけスッと目を眇めたのが分かった。
何につけても察しの良い宗親さんを欺くことなんて無理なのかもしれない。
その瞬間そんなことを思って、ヘビに睨まれたカエルの気持ちでキュゥッと身体を縮こまらせたら、「明智の誕生日、三十日でしたっけ」と存外穏やかな声が降り注いできた。
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