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それと同時、ふわりと頭を撫でられて、「それなら仕方ありませんね。でも、夜は絶対僕のために時間をあけること。――いいですね?」と間近でじっと顔を見つめられる。
康平との一件があって以来、宗親さんの過保護には拍車が掛かっている。
そんな彼を説得してほたると二人きりで出かけることは、かなり困難を極めるだろうと覚悟していた私は、余りにあっさりOKをもらえたことに拍子抜けしてしまった。
「あ、あの……いいんですか?」
驚きの余り思わず間の抜けた声を出してしまった私を宗親さんがギュッと抱きしめていらして、彼が身にまとうマリン系のコロンがふわりと鼻腔をくすぐった。
その香りに包まれた瞬間、自分はいま宗親さんの腕の中にいるんだと実感させられて、凄く幸せな気持ちになった。
いつだって宗親さんはこの上品なマリン系の香りとともに、私のそばにいて下さるから。
彼とは切っても切り離せないその香りに、私はうっとりと身をゆだねて、いつだって宗親さんに守られているんだと痛感させられる。
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