40.記憶と結びつくもの

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*** 「宗親(むねちか)さん、そ、その……お誕生日には何もお祝い出来てなくて本当にすみませんっ! それで、これ!」 「……え?」  宗親さんが帰宅なさるなり、ガバッと頭を下げながら小さな包みを両手で差し出したら、驚いたみたいにキョトンとされて。  私は恥ずかしさに思わず縮こまってしまう。 「この前Misoka(ミソカ)で集まった時、ほたると話していて気付いたんです。私、ずっと宗親さんにしていただくばっかりで何もお返し出来てないって」  考えてみれば、宗親さんは私の誕生日なんて関係なしに、あれこれと沢山のプレゼントを下さったのだ。  一緒に暮らし始めて程なくして、実家にわざわざ出向いて下さった宗親さんは、私が囚われていた〝柴田の跡取り〟という鎖を断ち切って下さった。  あれはきっと、宗親さん以外の男性には出来ない、最大のプレゼントだった気がする。  それに――。  そもそも家なき子になってしまった私に、高級マンションへ住まう権利まで与えて下さって……使っていなかった部屋にエアコンを新調して下さった上、わざわざ私好みの扇風機まで付けて快適に過ごせるよう配慮して下さった。
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