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(そっ、その含みのある笑顔は反則です!)
宗親さんもお風呂でのことを思い出しておられるのかな?
無意識にそう考えたら自然――。彼に〝妻として〟求められたことを思い出してしまった。
(私、宗親さんと……)
避妊なしで行為に及んだのは生まれて初めてで……。
今日の営みは二人の愛情確認であるとともに、宗親さんとちゃんとした夫婦としてのスタートを切ることが出来た節目のようにも思えて、何だか胸の奥がじんわりと温かくなる。
たった一度きりでお腹に赤ちゃんが来てくれる可能性はとっても低いのかも知れない。
でも――。
確かにこのお腹の中に彼の精を受け止めたんだと思ったら、キュンと子宮の奥が甘く疼いて幸せな気持ちに包まれた。
「春凪、シートベルトを……」
どうやら私、ぼんやりし過ぎていたみたい。
助手席に座ってアレコレ思いを巡らせていた私は、シートベルトのことをすっかり失念してしまっていた。
運転席に乗り込むなり私にそう指摘して。
宗親さんは過保護にも私に覆い被さるようにしてシートベルトを留めて下さった。
「あ……」
瞬間彼からふわりと漂った香りがいつものマリン系とは違うことに気が付いた私は、思わずすぐ傍にいる宗親さんをじっと見詰めた。
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