2304人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
スーツ姿に照れまくりでまともに顔を見られなかった宗親さんはやっぱりとってもかっこよくて……。
その上――。
「せっかくなので、春凪に貰った香水を付けてみました」
何でもないことのようにニコッと微笑むそのお顔の破壊力たるや、想像を絶するものがっ。
(私、こんな素敵な人に〝マーキング〟しちゃったんだ……)
不意にそんなことを思って、やたらと照れてしまったのは内緒です。
***
「僕からもプレゼント、ちゃんと用意してあるから。食事の時に渡すね」
助手席に座ってからも夢見心地。
窓ガラスに映る彼をうっとりと眺めていたら、不意に宗親さんがそう言って。
私は「えっ?」と間の抜けた声を出してしまう。
「今日はクリスマスイヴですよ? 僕からだけ何もないとかありえないでしょう? ――お願いだから僕にも格好付けさせて?」
クスッと笑う宗親さんに、(それではまた貰ってばかりのループですっ!)と思ったけれど、ハンドルを握る宗親さんの横顔はとても幸せそうで。
案外黙って彼に甘やかされていることが、宗親さんにとってのご褒美になるのかも知れないと今更のように思い至った。
「……楽しみにしています」
照れ隠し。小声でぼそりと言ったら、宗親さんがとってもとっても嬉しそうに「はい」と微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!