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「有難う、ございます……」
耳まで熱い。
きっと私、顔も耳も首筋も、出ているところ全部全部真っ赤になってしまってる。
ドレスに合わせて下手に髪の毛をハーフアップにしてしまったから、きっと赤くなったところ、みんな宗親さんに丸見えだよね。
そう思ったらますます恥ずかしくなって。
しどろもどろにお礼を伝えたら、そのままギュウッと腕の中に抱きすくめられた。
「春凪、そんな可愛い反応しないで? 我慢出来なくなってしまう」
「あ、あの……ご、ご予約の時間は……」
予約時間の二〇時まであと十分を切ってしまっている。
いくら二つ上の階とは言え、結構ギリギリなんじゃないかしら。
私を抱きしめたまま切なげに訴えてくる宗親さんに、私はオロオロしまくりで。
てっきりホテルに着いたら五十二階にあるレストランへ直行してそこで食事……となるんだとばかり思っていた私は、時間が押しているにも関わらず寄り道してしまったことに心臓がソワソワと落ち着かない。
宗親さんの腕に抱き締められたままドギマギと問い掛けたら「食事はこちらで出来るように手配してあります」と何でもないことのように言われてしまった。
宗親さんは名残惜しそうに私から離れると、ホテルに備え付けられた電話で「食事の方、よろしくお願いします」と告げて。
程なくして部屋のチャイムが鳴って、沢山の料理がカートに載せられて部屋の中へ入ってくる。
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