42.夢のような一夜

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***  昨夜ディナーを堪能して。  宗親(むねちか)さんが誕生日プレゼントに選んでくださったのは、珍しいチーズの詰め合わせだったから。  チーズが好き過ぎるあまりついテンションが上がりまくった私は、それに合うというお酒を出されるがままに飲み過ぎてほわほわしてしまった。  とは言え、メインのお目当てが普段あまりお目に掛かれないようなチーズ一択だった私は、お酒に関しては結構セーブして飲めたと思うし、足腰が立たなくなるほどではなかったはずなのだけれど。  今朝、ベッドで目が覚めてお手洗いに行こうと布団から抜け出してみたら一糸纏(いっしまと)わぬ姿だったことに恥ずかしくなって、すぐそばに散らばっていたバスローブを羽織った……までは良かったの。  だけど。  そのまま何の気なしに立ち上がったら、まるで生まれたての小鹿みたいに足がフルフルしてうまく立てなくて驚いてしまった。 「ひゃっ!」  ベッドでは宗親さんが裸のまま気持ちのよさそうな寝息を立てていらっしゃるから……私、極力音を立てないよう布団と腰に回された宗親さんの腕からそーっと逃げ出したのに……台無し。  ベッドサイドに立ったと同時にストンとその場に尻餅をついた私は、思わず小さく悲鳴を上げて宗親さんを起こしてしまった。
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