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クリスマスイヴ。
プレゼントに香水をお渡しした私をお風呂場で愛してくださった宗親さんは、超高級ホテルのスイートルームでも、まるでその延長みたいに明け方まで何度も何度も求めてくださって。
気が付けば私、足腰が立たなくなるほどになってしまったのだけれど。
考えてみたらあの日以来、宗親さんは私との行為に避妊なんてしていなかったのだ。
情交の後、膣内からトロリと溢れ出てくる温かな感触にも、今やすっかり慣れっこになってしまっていた。
そんなだったのに。
自分自身妊娠の可能性にもっと早く気付くべきだったと、己の不甲斐なさに呆れながらそっと下腹部を撫でる。
(赤ちゃん。いてくれるといいな)
触れる手のひらに、ありったけの願いを込めた。
***
「春凪さん、いらっしゃるー?」
宗親さんが検査薬を買ってきてくださって、夫婦二人して検査結果に固唾を呑んだあの日からずっと。
『オリタ』で秘書をやっている宗親さんの妹・夏凪さんが、夕方にちょいちょいマンションに遊びに来てくださるようになった。
きっと帰りが遅くなりがちな宗親さんが、私を気遣って夏凪さんに訪問をお願いしているんだろう。
イマイチ体調が芳しくなくて、外出できずに家に一人でいることが多かった私は、それでも気晴らしに誰かと話せるのは嬉しくて。
夏凪さんの訪問に、実はすごく助けられている。
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