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素直じゃない性格と、大企業オリタの令嬢と言うバックボーンのせいで、真の意味で同年代のお友達に恵まれていなかった夏凪さんと、どうか仲良くしてやって欲しいと頼まれた日のことを、私はほわりと思い出す。
宗親さん、私が妹さんと同い年な上、似た名前だったことにも縁を感じるっておっしゃってたっけ。
宗親さんは基本現実主義者でドSで意地悪。敵に対しては容赦なくとことん冷酷になる事も出来る人だけれど、自分の懐に入れた相手にはびっくりするぐらい優しくて甘いところがあるから。
夏凪さんを可愛がる幼い頃の宗親さんの姿が容易に想像出来て、今度は私がクスクスと笑う番だった。
「――春凪さん?」
そんな私の様子に夏凪さんがキョトンとして。
私は思ったままを彼女に話したのだけれど。
「――あっ! でしたら今度その頃のアルバムを実家から持ってきますわっ♪ お兄様の小さい頃の写真、一緒に見ましょうよ」
言われて、私は気持ち悪さも忘れて、すごくすごくテンションが上がった。
「是非!」
「あ、でも――」
「宗親さんには内緒、ですね?」
「お兄様には内緒、ですわよ?」
夏凪さんと私。
ほぼ同時に同じことを言って、二人で顔を見合わせて笑ってしまう。
宗親さんの子供の頃の写真。
めちゃくちゃ楽しみです!
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