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「とっても優しくてハンサムな、自慢のお兄様でしたの」
お姫様みたいなフリフリのベビー服を着た夏凪さんを、小さな王子様が守るように慈しんでいる姿がアルバムのあちこちに散りばめられていて。
私は頁をめくるたびに愛らしい二人の様子に感嘆の吐息を漏らした。
「こちらはアタシが生まれる前のお兄様のアルバムですの。お母様がこちらも是非春凪さんにって持たせてくださったんですけれど――」
義母の葉月さんが嬉しそうにアルバムを追加する姿が目に浮かぶようで、私は思わず笑ってしまう。
「最初はね、何十冊もドサッと積み上げられたんですのよ? そんなに持てるわけないでしょう?って言ったら執事を付けるからって言われて。折角の春凪さんとの楽しいひと時を邪魔されたくないからアタシ、丁重にお断りしましたの。それで……今回はとりあえずナンバー①って書かれた最初の一冊目だけ持って来ましたの」
調子のよい時に実家へ顔を見せにいらしてね?と言う伝言を託かったらしい夏凪さんに、私は葉月さんが私に宗親さんのアルバムを見せたくてうずうずしていらっしゃるんだなって思って。
そんなことを宗親さんが知ったらきっと、当分の間織田の実家には行かせてもらえなくなるだろうなって苦笑した。
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