37.落とし前をつけてもらいましょう

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「おはよう、ございます……」  昨夜散々喘がせてしまったからかな。  ちょっぴり掠れて聞こえる声と、襟口(えりぐち)からチラリと見えるキスマークの数々が、愛しくて堪らない。 「おはよう、春凪(はな)」  言いながらオーブンからフツフツと音を立てる、出来立てほやほやの『半熟卵のとろけるチーズご飯』を取り出して、カウンターに予め用意していた木製鍋敷きの上に置く。  ジューと言う音がいかにも熱そうで、僕はそれに刻みネギをトッピングしながら「熱々だから火傷しないように気を付けて? もちろん食べられそうな分だけ食べたんでいいですからね? 残ったら僕が食べますし、無理はしないこと」と声をかけた。  病み上がり……ではないけれど、辛い目に遭った翌日だ。  このぐらいの量、いつもの春凪ならペロッと平らげてしまえるけれど、本調子ではなさそうだから食べ切れないかもしれない。  でも、勿体無いことを極端に嫌う春凪にはきっと、食べられない量出されても残すと言う選択肢はないだろうなと思って。  残しても無駄にはならないよ?と付け加える。  それでもピンとこないのかな?  胡乱(うろん)げな表情で熱々のグラタン皿と僕を交互に見つめる春凪に、僕は彼女が言うところの腹黒くない心からの笑顔でニコッと微笑んだ。
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