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 スニーカーの足跡価格の大暴落、この原因として考えられるのは二つ。 一つは、需要量の減少。 つまり、世間がもうスニーカーを求めなくなったということだ。 それはないな。スニーカーと同等の利便性を誇る履物が 新しく売られ始めたという話は全く聞かない。 しかも、昨夜までスニーカーの足跡価格は標準のままであった。 ここに来て突然、反スニーカーの考えが庶民に広まったとは考えにくい。  もう一つは、供給量の増大。 こちらだとすると、スニーカーで地面を踏み締めまくった エコノミッククラッシャーがいるらしい。 可能性は僅かにあるが果たして……。 急激に足跡価格を下げるには、余程の大勢が集団的に、 かつ計画的にスニーカーで歩き回らなければならない。 そもそもそのような行為を取るメリットのある人は限られている。 犯人はスリッパ愛好家か? いや、違う。 スリッパの足跡価格は微動だにしていない。最底辺のままだ。 他の価格を下げるよりも、自分の価格を上げるように努めるのが普通であろう。  分からない。なぜだ。なぜなんだ。スニーカーを敵対視しているのは誰だ? ん? これは! ……間違いない。 スニーカーと対照的なグラフを為す履物があったぞ。 スニーカーの足跡価格が丁度、下降傾向を見せたときに、 この足跡価格が爆発的に伸びている。 その上、これは少し前まで、スリッパと最下位争いを繰り広げているではないか。 なるほど、黒幕は……下駄だ。
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