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 下駄の足跡は単調で深みがない。 何と言ったって、太い直線が1、2本あるだけだからな。 しかし、どうやってスニーカーの足跡価格をここまで下げることができた? 下駄職人がわざわざスニーカーを履いて、 フラッシュモブをしたとしか考えられない。 そんな奇想天外なイベントがあれば、是非拝見したいものだ。  おっと、テレビが付けっ放しだった。 「続いてのニュースです。  現代的なデザインのスニーカーを履いた下駄職人たちが  圧巻のゲリラパフォーマンスを見せました」 これだー! 言霊の仕業かな。 職人の一人がインタビューを受けている。 「そうですね。スニーカーを履いている理由は、  ちょっとここでは言えないですけど、……はい」 怪しい。これが意図的なものだとしたら、商売敵だぞ。 今もなお下駄の注目度は上がり続けている。 こうなると、直接乗り込むしかあるまい、日本下駄協会に。 交渉内容は、下駄職人によるスニーカーパフォーマンスの禁止と、 今夜の夕食の手配。 できれば、自然の恵みを受けていない食事を取りたい。 蜘蛛の巣は納豆の要領で食えそうではあるが、とにかく土が怖いのだ。 代わりに口にしたいのは、天然物の対を為す宇宙食。 富士山山頂の空気のフリーズドライなんかはどうであろうか。 お湯をかけて……あれ、どこ行った? たぶんこうなる。やはり自然の恵みフルコースで我慢しよう。  終盤の独り言は無駄だったなぁ。
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