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0.幻覚であることを願うばかり
ぐわんぐわん揺れる視界の先で憎たらしくも接吻をするガキどもがいた、ような気がする。
吐き気と尿意にやられていて幻覚を見ているのかもしれない。近くのものに掴まり、深呼吸をするも輪郭を主張しすぎている脳みそはまるで安いシュークリームのように中身がない。
「大丈夫ですか?」
首が壊れた人形のように頭を固定することを放棄し、肩を揺するバイトのガキに遊ばれる。抵抗しようとするが力は入らない。
「店長! 東雲さんが……」
左肩が圧迫される。ヴーと冷蔵庫に似た音が耳に当たる。お尻が冷たく、へたり込んでしまったことをどうでもよく思っていた。「子供」と冷たい声が微かに聞こえたのを最後に、わたしの意識は途絶えた。
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